矢橋工房
漆工芸は東洋独特の工芸技術であり、中でも日本の漆工芸は世界
的も高く評価されていました。CHINAが陶器を指すように、
JAPANは漆器という意に用いられております。日本の風土に生ま
れ育った原材料の漆を用い、日本人の手によって磨き上げられた
漆工芸は、日本を象徴する匠の精華であります。
木地の木材は持山から出材した広葉樹を長年に渡り蓄積し、養
生、乾燥し吟味した木材をそれぞれの用途に余すところ無く用い
ております。それは、天然の木材を大切に使用する日本の伝統技
術である木地氏の仕事を踏襲するものであります。
「かたち」を模索し、材料を調える、温故知新の文字の中に我々
矢橋工房の目指す工芸の道はあると考えております。
時代根来とは
根来塗りとは、今から700年前に和歌山県の根来寺で僧侶たちが自分の使う器を自ら作っていたのが起源であるといわれています。 古い根来は使われる事によって、表面の朱漆が剥げたりして、それが模様のように見えたりします。 日本人は使われて時代を経た姿を雅美として珍重してきました。 また、近年では明治以降の根来塗りは、剥げた部分を模様ととらえて盛んに作られたようです。 現代では、朱漆の下から黒漆が磨れて模様になっているものを根来塗りと呼ぶようになりました。 矢橋工房で製作している根来は、使われて時代を経た美しさを表現する事で古い根来を再現しております。 矢橋工房では、この時代を経た美しさを時代根来という商品に致しました。
漆器ができるまで
素材づくり
矢橋林業の倉庫には、膨大な量の材料となる木材が眠っています。堆く積まれたこの木材を見上げていると圧倒されてしまいます。この倉庫では自社の山から伐採した木を一旦天然乾燥させ、その後人工乾燥機へ入れて無理なくゆっくりと乾燥させます。そして倉庫へ移動させて養生させます。これは材料となる木のコン ディションを整える為に、何年もかけて行う作業です。そうする事で、割れや歪みなどの少ない上質な材料となるのです。
充分に乾燥された材料の木は、工場内で個割りにされ、ろくろ室で一つ一つ削り出されます。決められた形通りに削る為に、ゲージと呼ばれるならいに沿って削りだしていきますが、細かな部分は全て手作業。小さな刃物で手仕上げしていくのです。こうして漆器の素材となる材料は自社で作られ、職人の手によって形作られていきます。
塗り
形作られた木地が工房に運び込まれ、いよいよ漆塗りに入ります。
漆独特の香りが気持ちを引き締めます。凛とした空気、静かな時
間、その空間の中で職人は、一つ一つ丁寧に漆を塗り始めます。
最初に木地を強化する為に「木固め(きがため)」と言う作業を行
います。その後、漆を塗り、乾く前に拭取り、乾燥。この工程を十
回以上、物によっては四十回も繰り返します。
さて一言で「乾燥」と言っても、漆の場合、空気中の水分と結合し
て、化学反応により硬化する為、加湿が必要となります。漆の種類
によっては湿度を微妙に調節し、二~三日かけてゆっくりと乾燥さ
せるものもあります。季節や天候によって漆の乾き方が違うので、
品質を一定に保つ為、温度・湿度を管理できる「風呂(むろ)」と
呼ばれる部屋に入れて、漆を乾燥させるのです。
作業はさらに続き、朱を塗ったり、時代を付けたりと、商品によっ
て様々ですが、完成まで六十工程以上あるので、かかる日数はおよ
そ3ヶ月。こうして漆器は出来上がっていきます。日本伝統の什器
のもつ味わいを、どうぞ心ゆくまでお楽しみ下さい。
ご使用について
1.塗りたて早々の品は色合いも濃く光沢も充分でありません。また稀に敏感な方はカブレることもあります。日時の経過と共に美しい光沢をはなち、カブレの心配もなくなり
ます。
2.ご使用後、お洗いになる時は、うすい中性洗剤をご使用ください。後は柔らかい布で水分をきれいに拭き取ってください。
3.漆器を保存するには直射日光及び湿気を避けてください。形状が狂ったり塗面の色艶が消える恐れがあります。
取扱店
矢橋工房
営業時間 午前9時~午後3時
定休日 日曜日・祝日 第2・第4土曜日
住所 〒503-2122 岐阜県不破郡垂井町表佐410-1
TEL 0584-22-3684 FAX 0584-22-5666
E-MAIL keiko@mail.yabashi.co.jp
古美術 長善
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3-2-3 名古屋日興證券ビル B2F
TEL 052-242-0838
桃花堂
〒310-0804
茨城県水戸市白梅2-3-18 フェリヴェールサンシャイン上り口
TEL 029-227-3080