矢橋家では昔から必ず大寒の前後に、人々が集まり餅搗きをしてきました。戦争中、コロナ禍の一時期を除いて続けられてきた大切な伝統行事です。皆で餅を搗くことで仲間意識が生まれ、大きな家族のような雰囲気が醸し出されます。餅搗きはまず、水に浸したもち米を準備して、お竈(くど)さんでもち米を蒸します。蒸したもち米を臼に投入し、ねり棒6本で搗き上げ、さらに3人ずつ杵で搗きます。最後に大きな杵で搗いたら完成です。搗き立ての餅は、大根おろしやきな粉、粒餡などを添えて、その場で皆に振る舞われます。こわ餅、白餅、よもぎ餅、のり餅、きび餅、とうきび餅の6種類を合計30臼以上搗きます。餅は奥の広間に並べて堅くなるのを待って、食べやすい大きさに切り、お世話になった方々にお送りするのが慣わしです。台所では行事食「牛肉ご飯」が炊かれます。材料は牛肉約3.6kg、人参30本、米約18kg!寒餅搗きに集まった方々に振舞います。


